不動産格差〜居住誘導地域〜

今、さまざまなメディアで話題となっている不動産格差を読んでみました。不動産業界誌などでお馴染みの長島修さんです。

このブログは書籍を評価するためのものではないので、優劣については読者の方の賛否があるかと思います。あくまでも私が従事する群馬県の不動産事情を鑑みた視点でご紹介したいと思います。

まず最初に、この書籍は不動産に詳しい方から全く知識のない方まで、幅広く読める内容になっています。専門的な用語には必ずわかりやすい解説があります。

また、この種の書籍にありがちな、大変だ!といたずらに騒ぐこともなく、さまざまなデータを客観的に分析し、不動産にまつわる現在とこれからについて論理的に記載されています。

恥ずかしながら、私も初めて知る内容が多あり、大変勉強になりました。

さて、現在の不動産についての事情は、全国一律に語ることはできません。これは先日公表された路線価でも明らかなように、同じ市内でも評価が改善している場所とさらに下落している場所があります。

残酷なようですが、下落している場所がもう少しすれば上昇に転ずる、という可能性は絶望的に低いと言えます。

その理由の一つが居住誘導地域というものにあります。

日本国の急激な人口減少を受け、ある地域にみんなでまとまって住みましょう、という要因と、温暖化と高齢化なので移動には車ではなく電車やバスや自転車を利用しよう、という要因があります。

要するに自治体が指定したエリアの中にみんなで住むことで、行政サービスを維持しようということです。これをスマートシティと言います。

この、居住誘導地域ですが、各自治体で発表される時期は異なります。例えば前橋市では今年の4月25日付で都市機能誘導計画案が公表されています。

都市の機能を誘導するエリアがある程度決まっているのですから、その周辺が居住誘導地域となるのはほぼ、間違いないでしょう。

選定されたエリア外に不動産を所有する方にとっては、所有している不動産価値がさらに下落するという点において、決定的な意味を持ちます。

売りたくても買い手が見つからない、貸したくても借り手が見つからない、という住宅が急増することになると予想されます。

もっとも問題なのは、エリア外に集合住宅を所有している方です。

利便性の高い施設が次と誘導地域内に移転していけば、その地域は入居者にとって不便な場所になりますから入居率は急速に悪化すると考えられます。

住宅のニーズは通勤通学の利便性で決まりますので、利便性の低い地域に入居者が集まらなくなるのは当然です。

また、相続対策として集合住宅をエリア外に建築した場合、地価が下落していくことが予想されますので、場合によっては想定していた相続税が発生しなくなる可能性もあります。

新規で入居者を獲得できない集合住宅は今後、一戸建ての空家問題よりもさらに深刻な事態になることと思います。

特に家賃保証サブリース付で新築した場合、入居率が当初の見通しよりも悪化すれば、保証賃料を大幅に見直す提案があったり、最悪の場合は保証が打ち切りになる可能性もあります。

こうすれば大丈夫です!という万事に有効な解決策はありませんが、当社のような地域に根差した地元の不動産管理会社と共に、今のうちから対策を検討し、できるだけ早めに結論を出さなければなりません。

遅くとも5年後には前橋市を含む多くの自治体で計画が策定されていることでしょう。

住宅は生活と密接に関係する施設なので、5年という年月は決して長くはありません。

当社は不動産についての課題やお悩みを抱える不動産所有者の方のお役に立つための会社ですので、お気軽にご相談いただけたらと思います。